IMSUT CORDについて
施設長挨拶
施設長 長村 登紀子
こんにちは。赤ちゃんの誕生の記しに「へその緒」を保存する慣習が日本にはあります。「へその緒」は赤ちゃんのへそに残っている側の臍帯を指しますが、私どもは、その残りの臍帯を用いた細胞治療を目指しています。臍帯から得られる間葉系細胞には、免疫調整能や組織修復能があり、これらを難病治療に利用するために研究を進めてきました。現在、臨床研究用の細胞の製造や基盤・基礎研究用の細胞を安定的に提供する仕組みの構築を進めており、その達成と維持のために、「東京大学医科学研究所附属病院 臍帯血・臍帯バンク(東大医科研臍帯血・臍帯バンク、英語表記 The Institute of Medical Science、 The University of Tokyo、Cord blood and cORD bank; IMSUT CORD)が、当附属病院臨床研究支援組織と一環として2017年4月より設置されました。
このバンクを通じで、多くの研究が進み、さらに細胞製品化して患者さんの医療に役立つことをスタッフ一同心より祈っております。
目 的 および 品 質 方 針
東大医科研臍帯血・臍帯バンクは、採取医療機関(産婦人科)と連携して、種々の課題を解決しながら臍帯血および臍帯および臍帯由来細胞等(以下、「臍帯血・臍帯試料」という)を系統的に資源化(バンキング)することによって、臨床用の細胞治療や創薬・製剤等のソースとして、また研究用細胞等のソースとして安定的に患者、医療機関や製薬企業や研究機関の研究者に提供することを目的および品質方針としています。
背 景
現在臍帯血は造血幹細胞ソースとして優れていますが、骨髄に比べるとMSCは非常に少ない一方で、臍帯はMSCが豊富に含まれていることがわかり報告致しました。
私ども東大医科研臍帯血・臍帯バンクは、臍帯血と臍帯を用いて、再生医療や血液疾患及び患者数の少ない難治性疾患の治療法の開発、あるいは創薬を目指した基礎的研究を行っています。また、これらの成果により、臍帯血と臍帯に含まれる細胞には炎症を抑える作用と再生医療に応用できることがわかってきましたので、実際に患者さんへの使用を目指した細胞の製剤化(薬のように比較的均一な性質な細胞を作り出すこと)と資源化(バンキング)を進めています。
体 制
近隣の産婦人科のご協力のもとに、臍帯血・臍帯を収集し、東大医科研細胞リソースセンターにて調製・凍結保管しております。
図の通り、さまざまな疾患に役立てられると考えております。
情報公開
本研究は、厚生労働省科研費(現在 A-MED)や文科省科研費(JST)および関連企業より、基礎研究や臨床試験等に向けた準備のサポートを受けて進めています。 皆様のご理解、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。